2021年8月19日
医療用アプリケーションに拡張現実(AR)を利用 : Part 2

医療用アプリケーションにおける拡張現実(AR)の役割は大きくなっています。注目すべき分野の一つは、一般的な採血です。
静脈がつぶれていたり、位置がわかりにくい人にとって、コレステロール検査や年に一度の健康診断のために採血するのは大変苦痛です。幸いなことに、拡張現実(AR)の進歩により、採血時の緊張感を少しでも和らげることができます。ARデバイスを使用することで、血液が赤外線で浮かび上がり、採決を担当する看護師は静脈の位置を簡単に把握することができます。これにより、作業が迅速かつ正確になり、患者さんの不安が減り快適性が大幅に向上します。
本記事では、回折光学系を用いた射出瞳拡大装置(EPE)が OpticStudio でどのように動作するかを説明します。こちらは3回シリーズの2回目です。初回を見逃した方は、こちらをご覧ください。
ARデバイスの設計・開発には、正確なイメージングが欠かせません。グレーティングは、光を波長や色に分離する重要な光学素子であり、エンドユーザーに正確な仮想環境を提供するのに役立ちます。この記事では、OpticStudio の AR システム用 RCWA ツールを使用した射出瞳孔拡大装置(EPE)のセットアップの続きと、その際に使用した導波管と 3つのグレーティングについて説明します。
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導波管と第1の(インカップリング)グレーティング - 最初のステップは、図1に示すように、導波管と第1のグレーティングをセットアップすることです。
図1 導波管と第1のグレーティング
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第2(ターニング)グレーティング - 第2ステップでは、ターニンググレーティングを追加する。このグレーティングは、入射ビームを一方向に拡大し、その伝搬方向を90度回転させる。
図6 システムに追加されたターニンググレーティング
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第3(アウトカップリング)グレーティングと検出器 - 最後のステップは、第3のグレーティングと、アウトカップリングされた光を検出する検出器を追加することです。光線が第3のグレーティングに当たると分裂します。エネルギーの一部は回折次数+1になり、導波管から出ていきます。エネルギーの別の部分は同じ方向に進み続け、これが0次です。
図9 3枚のグレーティングを用いた射出瞳孔拡大装置
本シリーズの第3回では、セットアップを完了させ、フットプリント径の確認やEPEシステムのイメージシミュレーションの方法について説明します。また、設計者が独自のシステムを作る際のポイントについても触れていきます。
詳細については、Zemax のお客様は、ナレッジベースでシリーズ全体の記事をご覧いただけます。その他の場合、OpticStudio の詳細は Zemax までお問い合せください。
著者:

Principal Optical Engineer
Zemax