2021年9月29日

OpticStudio で拡張現実光学系用のヘッドマウントディスプレイ(HMD)を設計する

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OpticStudio で拡張現実光学系用のヘッドマウントディスプレイ(HMD)を設計する

拡張現実/仮想現実分野 (AR/VR) の継続的な成長に伴い、Zemax 光学設計ソフトウェア OpticStudio は、次世代のシステム設計に必要なツールを提供します。

光学シースルー型ヘッドマウントディスプレイ(OST-HMD)の場合、システムはマイクロディスプレイの投影イメージング光路とシースルー光路の2つの光路差図を最適化することで、拡張現実 (AR)を利用します。AR は、ユーザの現実の環境を完全に置き換えるのではなく、その上にグラフィックスを重ね合わせるため、外科医の補助や軍事用の戦術情報の表示など、さまざまな用途に非常に有効であると考えられます。

OST-HMD の用途を考慮すると、広視野で F ナンバーが小さく、コンパクトで使用者に余計な負担をかけない光学系の設計が重要になります。このシステムは、自由曲面ウェッジ型(FFS)プリズムとセメンテッド補助レンズを用いてモデル化することができる。まず FFS プリズムを設計し、マイクロディスプレイの投影結像光路 (第 1 光路) について事前に規定した仕様を実現できるように最適化します。シーケンシャル モードで設計するプリズムは、目的とするプリズムの形状が得られるようにティルトやディセンタを適用した複数の独立した面で構成します。したがって、プリズムの中を光線がどのように伝搬するかを考慮して、各面の配置と順序を判断する必要があります。

続いて、光学系のシースルー機能 (第 2 光路) におけるディストーションの最小化と光学屈折力の除去を目的とした補助レンズを、マルチコンフィグレーション モードで追加します。

この光学系は、光の伝搬方向を実際の光学系とは逆にしてモデル化します。実際の物理的な光学系では、マイクロディスプレイが HMD の光源であり、人間の眼の網膜が像面です (HMD 光学系の射出瞳と入射瞳の位置は、人間の眼の位置と同じになります)。この設定を正確にモデル化し、OpticStudioで効率的に最適化するために、OpticStudio では物理的な光学系の射出瞳を入射瞳としてモデル化し、マイクロディスプレイを光学系の「像面」として扱います。

RMS 波面セントロイドを対象として、この光学系を最適化します。設計の改良が進むに従い、リング数とアーム数を増やしていきます。必要に応じ、メリット ファンクション エディタを使用して制約を段階的に追加します。メリット ファンクションでは、複数の光線路を別々の基準で同時に最適化することが可能なため、その最適化はより効果的なものとなります。

OpticStudio に用意されているツールまたは MCE を使用して、光学系の性能仕様を基準とした解析を実行できます。今回の光学系については、関連性の高い解析の中からホイヘンス PSF を選択しています。この光学系に自由曲面があり、回転対称性がないからです。検討すべきもう一つの重要なツールが [視野マップ] (Field Map) です。この光学系の用途から、シースルー光路の屈折力は最小限 (およそ 0.5D 未満) に抑え、現実の場面とそれをシースルー光路で見た場合との不一致を人間の眼が感知できないようにする必要があります。こうした不一致は、疲労や頭痛などの症状の原因となることがあります。

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著者:Zemax カスタマーサクセスチーム