2022年1月15日

ELI Beamlines 社は、OpticStudio を用いた高出力/高繰り返し率レーザービーム伝搬システム HAPLS の設計、設置、および試験運用を実施しました。

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 プラハに拠点を置く ELI Beamlines 社は、欧州研究インフラ戦略フォーラム(ESFRI)のメンバーである汎欧州エクストリームライトインフラストラクチャ(ELI)プロジェクトの下部機関です。ELI Beamlines 社の施設では、放射線と粒子の短パルス二次光源の開発に注力しています。その主要な目的は、真に学際的でユーザーオリエンテッドな数ペタワット(1015 ワット以上、つまり1,000 兆ワット)のレーザーインフラストラクチャとして、物理学、天文物理学、化学、生物学、医学、物質科学を含むさまざまな分野における画期的な科学実験の実施と応用方法の開発を支援することです。

この驚異的な短パルスを生成し、数ジュール~キロジュールレベルまで増幅してペタワット~数ペタワットの出力を達成するために、ELI Beamlines はチャープパルス増幅(CPA)として知られるスキームを使っています。その最新の進化が、米国カリフォルニアのローレンスリバモア国立研究所(LLNL)がELI Beamlines との密接な協力の下で設計、構築した高繰り返し率高度ペタワットレーザーシステム(HAPLS)です。HAPLS は世界初となる最高平均出力のダイオード励起ペタワットシステム(300 ワット、繰り返し率 10 ヘルツ)です。

HAPLS の超高出力、超短パルス機能を達成するために、厳しい設計検証と極めて繊細なビーム伝搬機能が要求されました。Borneis 博士とELI Beamlines のチームは、OpticStudio を用いて、ビームの実験チャンバーへの伝搬時の位相振幅変調をモデル化しました。ビームは、軸外パラボラを用いた最大100 メートルの伝搬後に集光されます。そこからELI Beamlines は、OpticStudio を用いて強度変調の評価を行い、さらに新システムの試験運用時に許容可能な位相誤差を予測しました。

 ELI Beamlines の HAPLS ビーム伝送チームは、Zemax を使用して所内のコード開発を用いた場合の想定よりもはるかに短い時間で設計目標を達成しました。

「Zemax を用いた方法で、数百万ユーロと最低2 ~ 3 年の設計時間が節約できました。他の方法を用いていたら余計な複雑性とエンジニアリングを招いていたからです。」「加えて保有コストを著しく低減することもできるのです。」

と、ドイツのダルムシュタットにある重イオン研究所の主任レーザー科学者でペタワットレーザーシステムスペシャリストのStefan Borneis 博士は語ります。

Zemax 製品を使用し ELI Beamlines 社が実現した画期的なイノベーションについては、記事全文でご覧ください。また、光学設計ソフトウェアの業界標準である OpticStudio の詳細については、無料トライアルをお試しいただけます。