2022年8月10日
ドイツ技術物理研究所がZemaxを使用し、USB給電式の超小型衛星用スラスターを設計

OpticStudioのシミュレーションツールにより、レーザーアブレーション推進で推力を発生させる革新的なシステムを最適化
近年、超小型衛星の市場が勢いを増しています。大型衛星では、一般的な化学ロケットスラスターから、ホール効果スラスターのような比較的最近の新技術まで、さまざまな推力発生方法が使われています。しかし、人工衛星の小型化に伴い、これらの方法は実用的でなくなりつつあるため、科学者が新たな推力技術を開発することが求められています。
ドイツ航空宇宙センター(Deutsches Zentrum für Luft- und Raumfahrt、DLR)は、航空宇宙、エネルギー、輸送に関する研究を行っているドイツの国立センターです。DLR 内の研究所である技術物理研究所(Institute of Technical Physics)では、科学者、エンジニア、および、技術者が、航空宇宙産業における科学的知識の発展に貢献する光学システムを設計・考案しています。2020 年、小型衛星を操作するための新技術を試作しました。このプロジェクトの目的は、集光したレーザービームで物質を蒸発させることで推力を発生させるレーザーアブレーション推進により、超小型衛星を推進できると実証することでした。
ITP は、Zemax を使ってレーザーアブレーション推進の設計を考案し、衛星小型化の厳しい要件のもとでその実現可能性を実証することに成功しました。この記事では、ITP にどのような制約があり、それらを克服する光学系をいかにして製作したか、また、その設計を作成・完成させるために OpticStudio がどのような役割を果たしたかをご紹介します。プロトタイプの重要なカスタム非球面の設計する際、ITP は OpticStudio のモデリング機能を使用して、可能な限り最高の結果が見つかるまで実験を繰り返しました。
ITP の研究員で、スラスターの設計において重要な役割を果たしたRaoul Lorbeer 氏は、「システムを十分に保護できる適切な傾斜角を得るにはどの特性がベストなのか、当初は分かりませんでした。」と述べています。「私たちは、OpticStudio に直接統合されたシミュレーションツールチェーンを使用し、必要なモデリングをすべてソフトウェア内で実行することができました。そのため手動での実験は不要でした。」
ITP がどのようにレーザーアブレーション推進へのアプローチを改良し、超小型衛星の推進技術として実現可能であることを証明したのか、その全容をご覧ください。また、光学設計ソフトウェアの業界標準である OpticStudio を無料体験版にてお試しください。