2022年12月15日
MITの大学院のプロジェクトがOpticStudioを使用し、レーザーパウダーベッドフュージョン(L-PBF)方式の光学設計を検証

強力なシミュレーション、インタラクティブなレンズと材料カタログにより、金属3Dプリント用の斬新かつ商業的に有意義なマシンを実現
レーザーパウダーベッドフュージョン(L-PBF)方式は、金属積層造形の一種で、レーザーのエネルギーを使って粉末の薄い層を溶かし、金属3Dプリントを行う技術です。L-PBFを的確に利用するには、レーザー溶接の基本を押さえる必要があり、例えばガスとプルームの力学が溶接の深さと質に及ぼす影響を管理する作業などが重要になってきます。このため、L-PBFサーモグラフィの設計者は、レーザーが金属粉末の層と相互作用する時に起こる複雑な現象について十分に調べ、理解しておくことが大切です。
マサチューセッツ工科大学(MIT)の修士論文プロジェクトの一環としてL-PBF技術に取り組んだ機械エンジニアのDavid Griggs氏は、次のようにコメントしています。「最近よく使われている金属3DプリントのプロセスであるL-PBFは、ここ10年間で大きく成長したものの、まだ多くの課題を残しています。そのため現在では、L-PBFのプロセスを改良し、特定のパラメータを最適化する方法について、多くの研究が行われています。」
Griggs氏は、パワー、走査速度、スポットサイズという3つの主要なレーザータワーパラメータを最適化する新しいシステムをMITで設計したことで、上記のような既存の制限の問題を解決するべく取り組みました。このシステムでは、ユーザーが指定した方向に同期して、カスタマイズされたレーザーファイバーを出力することができます。これは従来のX-Y軸にプロットする手法と同様です。レーザーの部品自体は標準的な市販品です。そのためGriggs氏は、レーザーの能力を最適化する2つの重要な部品、すなわちコリメータとfθリフォーカスレンズを検証する作業に主に取り組みました。
この2つの部品を検証するため、Griggs氏は、新システムに影響を及ぼすと考えられる条件をOpticStudioでシミュレーションし、時間を節約しながら高い精度を得ることに成功しました。MITは、コリメータとfθレンズの両方に手持ちの部品を使うことを希望しました。そのためGriggs氏は、OpticStudioに組み込まれている豊富なレンズと材料カタログに基づいてレンズの適切な組み合わせを決定し、最適な結果を得ることを目指しました。
「OpticStudioは、検証に使える正確な値を教えてくれました」とGriggs氏は述べています。「OpticStudioを使用すると、各X-Y座標で予想されるすべてのスポットサイズを確認できるため、自分自身の理論的な計算に頼るよりもはるかに便利でした。OpticStudioは、設計改良のプロセス全体を導いてくれました。おかげで、私のミスもいくつか見つかりましたし、最終的に市販のシステムと同じように確実に動作するシステムを完成させることができました。」
Griggs氏のプロジェクトと、OpticStudioの支援により実現した業界標準を満たす成果の詳細については、記事の全文をお読みください。業界標準の光学設計ソフトウェアであるOpticStudioの無料体験版もご利用いただけます。