2022年3月17日
重要度サンプリングを使用して散乱を効率的にモデル化する方法

面散乱のモデル化は、多くの光学系で重要であり、迷光解析には不可欠です。面散乱を正確にモデル化するには、膨大な本数の光線が必要になりますが、その場合は演算時間が非常に長くなることが考えられます。したがって、多くの場合、散乱方向または重要度サンプリングを活用して、解析の範囲を絞り込む必要があります。これらのどちらの機能でも、ほぼすべての散乱プロファイルを扱うことができる柔軟性を保持すると同時に、高い散乱効率が得られます。この記事では、[オブジェクト プロパティ] (Object Properties) ダイアログの [散乱方向] (Scatter To) タブにある [重要度サンプリング] (Importance Sampling) の機能について解説します。
重要度サンプリングの機能は、基本的に散乱方向の機能とは異なります。散乱方向の機能では、目的のオブジェクトと相互作用する散乱光線のみを追跡します(その散乱光線が、目的のオブジェクトに必ず到達するわけではありません)。一方、重要度サンプリングのリストにオブジェクトを追加すると、OpticStudio によって、そのオブジェクトを中心とする目標球の方向に必ず光線が散乱するようになります。OpticStudio では、散乱プロファイルを考慮するために、オブジェクト位置での光束が現実的な状態になるように、これらの光線のパワーが重み付けされます。その結果、S/N 比が高くなります。目標球の大きさおよび目標球が適用できる最大立体角はユーザーが指定します。
下図の光学系では、入射光がランバーシアン面で半球範囲の各方向へ散乱しています。1 本の入射光線あたり 10 本の光線が散乱しても、小型のディテクタに到達する光線はほとんどありません。しかし、重要度サンプリングを有効にすると、多数の光線がディテクタに到達します。
図 1. 重要度サンプリングの例
こちらの記事に重要度サンプリングの記事が掲載されています。
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