2021年4月17日
自由曲面「拡張多項式面」の
次数と項数の関係

光軸に対して回転対称ではない形状を自由曲面と呼ぶのが一般的です。光軸に対して回転対称でないだけで、一気に複雑さが増します。それは、回転対称な面は二次元の数式で表す事ができますが、回転対称ではない面は三次元の数式で表すしかないためです。自由曲面形状を表す数式は OpticStudioの中で様々ありますが、それらは項数が多いものがほとんどです。その中でも広く使われているのは拡張多項式面です。

※詳しくは、ヘルプファイルまたマニュアルの
[設定] (Setup) タブ > [エディタ] (Editor) グループ ([設定] (Setup) タブ)
> [レンズ データ エディタ] (Lens Data Editor) > シーケンシャル面 (レンズ データ エディタ)
> カテゴリ別シーケンシャル面タイプ
の下方の「フリーフォーム面」の項に紹介されています。
OpticStudioの[レンズ データ エディタ]で拡張多項式面を選択すると、最大項数を指定します。光学面としての通常の使用方法は必要な自由曲面の次数を選択するものであり、最大項数はあまり意識しないものです。参考まで、拡張多項式面の最初の数個の項数は以下の通りです。

例えば、「yの3乗までの拡張多項式面を設計したい」といった場合、必要な最大項数は「9」です。そして、「yの8乗までの拡張多項式面」の場合は最大項数は「44」です。ただし、その数値を知らない場合項数の数値を入力した後に[レンズ データ エディタ]をスクロールして確認しなければならず効率的とは言えません。OpticStudioのマニュアルやヘルプファイルには拡張多項式面の数式が記載されていますが、全ての次数と最大項数の関係は記されておりません。
その作業を煩わしいと感じた事がある方は、次数と項数の関係も一つの数式で表せるので以下の数式を参照ください。N = 1/2 j^2 + 3/2 j
ここではNが最大項数 jが自由曲面に使用したい最大次数です。例えば、次数が「8」まで、つまり、「X0Y8」までの最大項数は
N = 1/2*(8^2) + 3/2*(8) = 64/2 + 24/2 = 44
となり、最大項数「44」が計算できます。このように最大項数と次数の関係を把握する事で、作業効率が上がります。参考まで、英語のフォーラムに拡張多項式面全ての項を計算した表があるのでご参考いただければ幸いです。
OpticStudioにはマクロ機能も搭載されていますので、このような任意の数式をご自身でプログラミングすることも可能です。ZPL(Zemax Programming Language)は以下のラーニングパスに様々な例が紹介されていますので、是非ご活用ください。