2021年9月10日

高歩留まり最適化

Category: Product News

高歩留まり最適化はより製造しやすい設計を実現する画期的なテクノロジーです。公称設計の感度を下げる最適化を可能とする最適化機能です。Ken Moore 氏によるこの新しい最適化手法[1]は、製造およびアライメントエラーに対する感度を低減しようと試みます。

 光学設計者は、性能仕様を満たすとともに、可能な限り製造不良を抑えた製品を開発する必要があります。以前から、コンピュータによる最適化を用いた光学設計では、シミュレートする光学系の光学的性能を表すために評価関数数値を使用してきました。そうした従来の設計手法では、まず設計の公称性能を最大化したうえで、後続する別の工程において、公称パラメータに製造公差を加えます。これによって、製造後の光学系でも仕様どおりの性能が実現されます。しかし、この手法による設計は、製造誤差と位置合わせ誤差に対して極めて敏感である場合が多く、再現性よく光学製品を製造することは困難です。

 従来手法のこうした問題点を解決するのが、高歩留まり最適化と呼ばれる新しい手法です。この手法では設計後の工程ではなく設計プロセスの中で、光学系の製造欠陥に対する感度を低下させます。高歩留まり最適化手法は、厳しい性能仕様を満たす設計を実現するとともに、製造歩留まりを高め、無駄を減らすことで製造コストの削減につながります。

 最適化ウィザードに[高歩留まり最適化] (High-Yield Optimization) が追加され、このメリット ファンクションを構築すると、図 1 に示すように、メリット ファンクション エディタに HYLD オペランドが入力されます。

図 1. 高歩留まり最適化を使用した最適化ウィザード

高歩留まりを目指す最適化は、製造する必要があるシステムの最適化に推奨される新しい方法です。高歩留まりの最適化を使用することにより、公差解析の時間を大幅に短縮し、最初に製造可能な設計を作成できます。

 シーケンシャル モードの [最適化ウィザード] (Optimization Wizard) に新しい高歩留まり最適化機能があります。最適化ウィザードは、[最適化] (Optimization) タブから、または、図 2 に示すように [メリット ファンクション エディタ] (Merit Function Editor) の [ウィザードとオペランド] (Wizards and Operands) セクションを展開することで開きます。

図 2 最適化ウィザードの高歩留まりオプションの位置 

[1] Kenneth E. Moore, "Optimization for as-built performance," Proc. SPIE 10925, Photonic Instrumentation Engineering VI, 1092502 (4 March 2019);

こちらの記事に高歩留まり最適化の説明動画が掲載されています。

また、英語の動画で恐縮ですが、Ken Moore氏のウェビナー動画もご参考ください。