2021年7月26日

医療用アプリケーションに拡張現実(AR)を利用 : Part 1

Category: Product News
医療用アプリケーションに拡張現実(AR)を利用 : Part 1

今回は、k-space の概念と射出瞳拡大設計方法を紹介する 3 回シリーズの初回です。

拡張現実(AR)は、もはやゲームだけのものではありません。 実世界の環境を正確にシミュレーションすることは、医療分野を含む複数の作業環境に役立ちます。AR を使用すると、医師は患者に病気や治療法をよりよく説明できるだけでなく、手術や治療の計画(場合によっては実施)にも役立ちます。 DNA テスト結果の三次元の視覚化を使用したり、迅速な分析と診断のために患者の記録を表示したりと、、さらに一歩進んでいる事例もあります。このテクノロジーは教室でも使用でき、インタラクティブな 3D 解剖学的モデルを使用して医学生をトレーニングできます。 また、医療販売の場合、仮想空間を使用すると、機器を素早くデモできます。

しかし、AR デバイスを効果的なものにするためには、光学系が提案された環境やオブジェクトを正確にシミュレーションし、ユーザにとって可能な限り現実に近いものにする必要があります。Zemax OpticStudio は、光学エンジニアが AR デバイスを効率的かつ効果的に設計するために必要なツールを提供します。

この記事では、OpticStudio で拡張現実(AR)システム用の射出瞳孔拡大装置(EPE)を設定することについて、k-space(光学的運動量)におけるグレーティングの計画の概要を含め、RCWAツ ールを使用して各グレーティングを設定することに触れます。

射出瞳孔拡大装置(Exit pupil expander - EPE)の解説​

導波路を用いた AR システムにおいて、光学性能を向上させるための射出瞳拡大(Exit pupil expander - EPE)は、これらのデバイスを制作する光学エンジニアにとっては一般的な手法です。理想的な AR システムでは、各分野のビームが射出瞳(デバイスから光が出る部分)で重なるように設計し、人間の目が画像全体をよりよく受け取ることができるようにします。光学系のすべての要素を適切に配置することで、結果的に射出瞳が拡大されるため、その構造はしばしば EPE と呼ばれます。EPE では、各フィールドの光が瞳の位置で重なり合い、全体像を見ることができます。

グレーティングの周期と方向を決める​

AR は、実世界の体験を仮想環境でシミュレーションするものです。実世界の表現を正確に行うためには、AR システムがシミュレーション環境を理解している必要がありますが、これは k-spac eの座標系を使用することで可能になります。そのためには、導波管の中でビームを出し入れしたり、回転させたりするグレーティングの配置を効率的に考えることが重要です。K-space では、ビームの伝播やグレーティングの効果を直感的に視覚化することができます。これにより設計者は、最終的に人間の目に見える画像を作るグレーティングだけでなく、エンドユーザのための画像性能を理解し、より良いものを作ることができます。

Zemax OpticStudio では、実際のグレーティングの形状を内部で設定し、リアルタイムでシミュレーションを行うことができます。他のソリューションでは、通常、このプロセスを 2 つのソフトウェアプログラムで行う必要があり、静的なデータ交換が必要になります。

この例では、EPE にシンプルなバイナリグレーティングを使用しています。製作方法の能力に応じて、斜めにしたり、他の形状にしたりすることも可能です。

今回のケースでは、3 箇所へのグレーティングを用いてEPEを構築し、空気から導波管に光線を結合し、導波管内で光線の方向を変え、導波管から空気に光線を結合しました。

k-space を使うときに気をつけなければならないのは、k-spaceは、各グレーティングによって光線の伝搬方向がどのように変化するかを記述できるだけだということです。導波管上にどのように回折格子を配置するかは記述されていません。

  • 第 1 のグレーティングは、光が材料に反射する全反射(TIR)領域に視野(FOV)を移動させるために使用
  • 第 2 のグレーティングは、光線の伝搬を平面上で 90 度回転させるために使用
  • 第 3 のグレーティングは、第 1 のグレーティングと似ています。周期は第1のグレーティングと同じですが、方向は第 1 のグレーティングに対して 90 度回転させる必要があります。

このシリーズの Part 2 と Part 3 では、導波管と 3 つのグレーティングを用いた射出瞳拡大光学系を構築するための次のステップを学びます。引き続き、フットプリント図と画像のシミュレーション方法について説明します。画像のシミュレーションは Zemax OpticStudio 独自のもので、記事にある表示を現在作成できる唯一のプログラムです。

詳細については、Zemax のお客様は、Zemax.jp でこのナレッジベース記事の全文とシリーズ全体をご覧いただけます。また、OpticStudio の詳細については、こちらのフォームよりお問い合わせください。

著者: 

Michael Cheng
Senior Optical Engineer
Zemax