2021年9月23日
Zemax 21.3 次世代光学システムの小型化に必要な複雑な形状のモデリングをサポート
OpticStudio® 21.3 は、軸外しコーニック非球面ミラーのネイティブなノンシーケンシャルモデリングに加え、プロジェクトベースのアーカイブや、より安全なファイル形式によるチーム間のコラボレーションをサポートします。
OpticStudio® STAR Module 21.3 では、ユーザ定義の座標系をサポートし、面のデフォーメーションから得られるベクトルの大きさをより分かりやすく表示できるようになりました。
OpticsBuilder™ 21.3 では、複合およびブール演算コンポーネントの位置と向きの変更が可能になり、操作性と可視性が大幅に向上しています。
ワシントン州カークランド – Zemax 社は、同社の主力ソフトウェアである OpticStudio®、OpticStudio® STAR モジュール、および、OpticsBuilder™ の最新リリースを発表しました。このリリースは、お客様に定期的なアップデートをお届けするというお客様との約束を継続するものです。Zemax は 2021 年に 3 回の製品リリースを行っており、最初の 1 月(21.1)に続き、5 月(21.2)、そして今回の 9 月(21.3)のリリースとなっています。
OpticStudio 21.3 : 新しい軸外しミラーオブジェクト、プロジェクト ディレクトリ、より安全なファイル形式

OpticStudio 21.3 では、ノンシーケンシャルモードの軸外しコーニック非球面ミラーをネイティブにサポートしています。このようなオブジェクトは航空宇宙や防衛分野で一般的に使用されていますが、より小さなサイズで高い性能を発揮できることから、他の多くのアプリケーションの光学システムの設計でも使用されるようになってきています。21.2 で追加された軸外し非球面やQタイプ非球面などの複雑な非球面をノンシーケンシャルにサポートすることで、これらの「最新ジオメトリ」を使用したシステムの構築時の性能を正確に評価できるようになり、エンジニアは現実的な光源、迷光、光学メカニクスの影響を考慮できるようになります。また、ノンシーケンシャルサポートは、OpticStudio、CAD、有限要素解析(FEA)間の統合された設計ワークフローをサポートする上で重要です。
また、OpticStudio プロジェクトファイルの管理とアーカイブの方法も改善されました。21.3 リリースでは、プロジェクト ディレクトリと呼ばれる新しい機能がサポートされており、OpticStudio 設計に含まれるファイルの階層を共有したり、共同作業を行う際の課題を解決します。プロジェクト ディレクトリでは、OpticStudio 設計に関連する補助ファイルを OpticStudio ファイルと同じ場所に保存することができます。これらの補助ファイルはフォルダ階層内に保存されますが、その階層は 1 つのアーカイブ ファイル内に保存、共有することができ、アーカイブ ファイルを復元する際に自動的に再現されます。現在、プロジェクト ディレクトリでは、ガラスカタログ、コーティングファイル、CAD ファイル、散乱ファイルなど、最も一般的に使用される補助ファイルをサポートしています。その他の補助的なデ設計ファイルは、今後のリリースでプロジェクト ディレクトリ機能に追加される予定です。
安全性はコラボレーションに不可欠な要素です。21.3 のリリースでは、デフォルトのファイル形式が更新されました。この新しい、より安全なバイナリファイル形式は、ZOS ファイル拡張子を使用しています。
現在、ZOS 形式では ZMX ファイルと同じデータが保存されていますが、将来のリリースで追加される可能性のある新しい機能を想定して、新しい形式を設計しました。21.3 リリースでは、設計ファイルを ZMX ファイル形式で保存することができ、21.3 リリース(および将来のリリース)でもZMX ファイルを読み取る機能が継続されます。
OpticStudio STAR Module 21.3 : FEA データセットの位置の柔軟性とデフォーメーションベクトルの矢印
今年の初めに導入した、OpticStudio STAR モジュール(構造分析および熱分析と結果 モジュール)は、構造や熱要因が光学設計へ与える影響をネイティブに評価するために、有限要素解析(FEA)データセットを OpticStudio にインポートすることで、光学系ワークフローの簡素化と効率化を実現します。
21.3 ではこれらの機能を拡張し、次のことができるようになりました:
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任意の座標系で保存された FEA データの読み込み。この機能により、保存されている座標系に関わらず、またそれが OpticStudio 設計のローカル座標系やグローバル座標系でなくても、STAR モジュールをシームレスに使用することができます。
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表面変形のベクトルの大きさを可視化。システムビューアのデフォーメーションの大きさプロットにベクトル矢印を追加しました。これにより、各変形の方向が明確になり、ベクトルの長さは衝撃に比例して表示されます。
21.3 のリリースでは、STAR モジュールのユーザインターフェースを日本語と中国語で提供し、これらの地域のユーザをサポートしています。
OpticsBuilder 21.3 : 複合/ブール演算の位置とソース/ディテクタの視覚化

最新リリースの OpticsBuilder では、複合およびブール演算コンポーネントの位置と向きを変更することができ、オプティクス マネージャでこれらの要素が選択されている場合には、UIのグラフィック領域でソースとディテクタを視覚化することができます。複合型およびブール演算コンポーネントは、OpticStudio にネイティブなノンシーケンシャル対応物がない形状から作成され、非対称または軸外しアパチャーを持つミラーなどの複雑な形状の場合が多いです。このようなオブジェクトを光学メカ設計の中で自由に再配置できることは、空間的な制約に対応する上で非常に重要です。光源やディテクタについては、現在選択しているオブジェクトを確認するための視覚的な参照を提供する「一目でわかる」補助機能が OpticBuilder UI に搭載されました。

更に、OpticsBuilder 21.3 では、オプティクス マネージャ、境界光線ツール、機械的エッジツールの操作性が向上しました。オプティクス マネージャでは、静的光線とシミュレーション光線が別々にリストアップされ、境界光線ツールでは、境界光線を静的光線として識別できるようになりました。機械的エッジツールの改良により、新しい機械的エッジの値を入力してオブジェクトの外径を動的に変更できるようになりました。また、数値ではなく左右の表記を使用することで、どのエッジを調整しているのかを分かりやすくすることができます。
* 21.3 では、SOLIDWORKS の携帯電話用カメラレンズのサンプルファイルが新たに追加され、射出成形レンズのカスタマイズされたマウントエッジの使用方法が紹介されています。カスタマイズされたエッジは、レンズを所定の位置に固定するための追加の機械部品を必要とせず、レンズをアセンブリにスナップインさせることができるため、光学メカ設計の全体的なサイズと重量の要件を軽減します。また、ライフルスコープ、超短焦点プロジェクタ、最新の Heliar レンズ用の新しい SOLIDWORKS サンプルファイルも含まれています。
* 2021年12月31日以降、OpticsBuilder for SolidWorksは使用できなくなります。
21.3 へのアップグレードの準備はできていますか?Zemax ホームページの「サポート」→「ソフトウェアダウンロード」からアクセスする、もしくは、Zemax までお問い合わせください。
Zemax 社について
業界をリードする Zemax 社製の光学設計およびシミュレーションソフトウェア OpticStudio®, OpticStudio® STAR モジュール, 光学メカソフトウェア OpticsBuilder™, ならびに光学設計データビューア OpticsViewer™ は、光学、機械、製造の各エンジニアリングチームの光学・照明系に関するアイディアの現実化を手助けします。光学およびメカ設計のワークフロー全体で Zemax 社のソフトウェアを標準化することで、開発の繰り返しや度重なる試作品の製作を減らし、市場投入までの時間が短縮されます。
Zemax 社は、米国ワシントン州カークランドに本社を置き、英国、ドイツ、日本、台湾、中国にオフィスを構えています。詳細はこちら: www.zemax.com.